「 農業では儲からない 」を覆す!沖縄発、紅芋で拓く新たな可能性

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取材協力:農業生産法人 株式会社マルシェ沖縄 – 比屋根様

取材対象:ジャパン・フード・セレクション受賞「 うむくじまーさん

目次

農業生産法人 株式会社マルシェ沖縄

私たちマルシェ沖縄は紅いもチップスや紅いもペーストなど紅いもの商品を製造している会社です現在は紅いもの生産(1次産業)や加工(2次産業)だけではなく、流通・販売(3次産業)まで行う6次産業化に取り組んでいます。6次産業化を進めることで、自社の強みを生かした商品開発や農業の活性化を目指しています。

うむくじまーさん 沖縄産紅芋使用

比屋根社長が農業の世界に入られた”きっかけ”

編集長

比屋根社長が農業の世界に入られたきっかけをお聞かせください。

比屋根様

父が以前農業を営んでいましたが、後に観光業に転身したんです。その際、父がよく「 農業では儲からない 」と口にしていたことが、私の心に強く残っていました。その言葉がきっかけとなり、従来の農業の枠を超えた可能性を模索するようになりました。
当時、勤務先で地元素材を活用した菓子開発のプロジェクトに携わる機会があり、そこで農業分野により深く関われるのではないかと考えました。生産から商品開発までの一貫した取り組みを通じて、「 農業から6次産業化へ 」というビジョンが徐々に形作られていきました。実は、最初は会社員として働きながら、現在の会社の基礎を築いていったんです。

商品名の由来

編集長

ジャパン・フード・セレクショングランプリを受賞された「 うむくじまーさん 」について、商品名の由来や込められた思いをお聞かせください。

比屋根様

商品名の「 うむくじまーさん 」は、沖縄の郷土料理「 うむくじ天ぷら 」と、沖縄方言で「 美味しい 」を意味する「 まーさん 」を組み合わせて命名しました。当初は少し分かりにくい商品名かもしれないと懸念がありましたが、大阪のパッケージデザイン会社に相談したところ、むしろ伝わりやすい魅力的な名前だとご評価いただき、そのまま採用することになりました。

「 紅芋 」を主原料に選んだ理由

編集長

沖縄を代表する「 紅芋 」を主原料に選ばれた理由をお聞かせください。

比屋根様

沖縄では紅芋が一年を通して栽培できる作物なんです。また、観光客はもちろん、地元の方々からも愛されている食材として知られています。特に商品化の観点から見たとき、沖縄を代表する素材として、紅芋の魅力は他の追随を許さないものがありました。そういった背景から、紅芋を主原料として商品開発を進めることを決めました。

6次産業化について

編集長

6次産業化に注力されているとのことですが、その具体的な意味合いについてお聞かせください。

比屋根様

例えば、1次産業である農業だけでは得られる付加価値は限られています。しかし、2次産業の加工、3次産業の販売・サービスまで一貫して手がけることで、より高い付加価値を生み出すことができます。また、それぞれの工程での業務効率化も図れるため、総合的な収益性も向上するのです。

印象的なエピソード

編集長

契約農家の方々との関わりの中で、特に心に残っているエピソードをお聞かせください。

比屋根様

約20年前のことになりますが、私にとって師匠と呼べる農家の方がいらっしゃいました。紅芋への深い愛情を持った方で、畑の栽培方法から農機具の使い方まで、本当に多くのことを教えていただきました。

残念ながら今はもうお亡くなりになってしまいましたが、その方から学んだ農業哲学は、現在の私たちの紅芋の周年栽培システムの基礎となっています。今の私たちの農業の在り方は、師匠の教えがあってこそだと思っています。

福祉施設との連携

編集長

福祉施設との連携について、紅芋の皮むき等の作業は施設の方々に依頼されているのでしょうか?

比屋根様

当初は機械で皮むきをしていたのですが、人の手作業の方が品質面で優れていることが分かりました。福祉施設の方々が丁寧に作業をしてくださったんです。現在では11の施設と連携し、皮むき作業だけでなく、お菓子の箱詰めや運搬、その他の軽作業まで、幅広く協力していただいています。

この農福連携を通じて、思いがけない効果も生まれました。施設の方々と一緒に働くことで、社員の意識も自然と変わり、会社としても大切にすべき価値観や環境が育まれていったんです

紅芋の栽培から収穫まで

編集長

紅芋の栽培から収穫までの流れについて教えてください。

比屋根様

当社の生産体制は、少数の連携農家の方々と連携する形を取っています。農家の皆さんが栽培した紅芋を、私たちが収穫し、その後の出荷、加工、販売まで一貫して手がけています。これにより、品質管理から最終製品までを自社でコントロールすることができています。

ジャパン・フード・セレクション受賞

編集長

ジャパン・フード・セレクション グランプリ受賞についての率直な感想をお聞かせください。

比屋根様

日々の取り組みが形となって評価していただけることは、私たちにとって大きな励みになっています。紅芋は栽培時期や畑の場所によって品質が異なりますが、それらを丁寧にペースト状に加工し、組み合わせることで、安定した品質の商品を作り上げてきました。

美味しさの裏側には、多くのスタッフの努力があります。単なる原料の加工だけでなく、周年栽培の工夫や品質管理など、様々な工程での創意工夫の積み重ねがあってこその受賞です。この賞は、携わってくれている従業員一人一人の努力が報われた証だと感じています。

沖縄の食文化の未来

編集長

沖縄の食文化の未来について、御社のビジョンをお聞かせください。

比屋根様

私たちの原点は、「 農業では儲からない 」という父の言葉を覆すことでした。しかし、今では単なる収益性の追求を超えて、より大きな価値を生み出せていると感じています。

例えば、地元で原料を栽培・加工し、お土産や食品として提供することで、フードマイレージの削減に貢献できています。また、紅芋の周年栽培は年間を通じて二酸化炭素を吸収するため、環境負荷の低減にも一役買っています。このように、私たちの事業はSDGsにも自然と結びついているんです。

当社の経営理念は「6次産業を通して、お客様が喜び、社員が輝き、地域とともに成長する会社を目指す 」というものです。地元沖縄で育てた食材を観光客の皆様に喜んでいただけるかたちで提供し続けること。そして、この理念をさらに大きく育てていくことが、私たちの次なるビジョンとなります

運営会社:株式会社Rim Entertainment
編集者:Jeong Yeongsu
運営メディア:シネマライブラリ

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