生産者の椎茸を無駄にしない、原木栽培にこだわった最高級の干し椎茸を全国へ!

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編集長

伊藤様、編集長のジョンです。本日は宜しくお願いします。

伊藤社長

はい!宜しくお願いします。

目次

創業明治30年、国内産の原木栽培にこだわった最高級の干し椎茸を全国へ!

創業明治30年のフルタヤ椎茸株式会社は、国内産 原木栽培にこだわった最高の干し椎茸を全国に届けている。

創業 〜 現在までの転換期

編集長

フルタヤ椎茸株式会社の創業以来、転換点はいつだったのでしょうか?

伊藤社長

大きな転換点は、祖父が法人化に踏み切ったこと(1974年)ですね。父が地元に帰り、跡取りとして準備ができたタイミングでした。私はその当時、3歳くらいだったと思います。

編集長

その当時から会社の方針に変化はありましたか?

伊藤社長

「 干し椎茸を専門に扱う 」という点は、当時からブレていません。 時代と共にお客様のニーズが変わってきていますね。 昔は干し椎茸が食卓になくてはならない不可欠なもので、売るのに困らない時代でした。

弊社は山の中にあるので、周りは椎茸でいっぱいでした。長野県も椎茸の産地で、椎茸で商売をする生産者もたくさんいました。弊社も生産者が集めたものを売るという形ができていました。

編集長

もう1つの転換点があったとすれば、どのようなものでしょうか?

伊藤社長

中国産の安い椎茸が日本に入ってきたことですね。今から30年ほど前のことです。それまでは原木栽培が主流でしたが、中国産は菌床栽培で、国産の半分以下の価格で流通するようになりました。

編集長

その影響はどのようなものでしたか?

伊藤社長

価格が安く大量生産できるので、多くの方が国産 → 中国産に切り替えていきました。ただ、10〜20年前ほど前から「 やっぱり国産だよね 」と、舌の肥えたお客様が戻ってきた印象です。

編集長

原木栽培と菌床栽培の違いについて教えてください。

伊藤社長

原木栽培と菌床栽培は、栽培方法が全く違います。原木栽培は2〜3年もかけて育てて、収穫しますが、菌床栽培は工場で大量生産ができます。当然、味わいも違ってきます。やはり、本物の味を求めるお客様が増えてきたのだと思います。

原木栽培(げんぼくさいばい) 〜 天然の木を用い木材腐朽菌のきのこを栽培する方法で、伐採し丸太に直接種菌を植え付ける方法。 丸太(原木)をそのまま使うことから原木栽培と言われている。

菌床栽培(きんしょうさいばい) 〜 おがくずや米ぬかなどで作った人工培地を用いてきのこを育てる方法。培地を滅菌し、きのこの種菌を植え付け、温度や湿度を調整して菌糸を成長させます。その後、環境を変えてきのこを発生させ収穫する。原木栽培より短期間で収穫でき、多様なきのこ栽培に適しています。

全体収穫量の約5%程度、希少な最高級どんこ椎茸ギフト

編集長

「 最高級どんこ椎茸ギフト 」について教えてください。

伊藤社長

この商品は、随分前から弊社の看板商品として存在していました。ギフトには一番良いものを入れるという方針で、選りすぐりのどんこ椎茸を使用しています。これは全体の収穫量の約5%程度しかなく、滅多にお目にかかれない品質のものです。

商品を作る上で、どんこ椎茸だけを仕入れるわけにはいきません。たくさん仕入れて、その中から良いものを選別していきます。弊社は年間15トンの干し椎茸を扱っており、それだけの量を扱うからこそ、高品質の商品を提供できるのだと思います。

最高級品だけを作る商売は意外と難しいですね。自然栽培では様々な品質の椎茸ができますし、年によって生産量も変わります。そういった変動がある中で、毎年同じ品質の商品を作り続けていくのは本当に大変なことなんです。

編集長

ジャパンフードセレクションでのグランプリ受賞の影響はいかがでしたか?

伊藤社長

従業員に報告したところ、非常に喜んでくれました。外部から評価をいただくことは中々なかったので、グランプリを受賞したことで、従業員のモチベーションもグッと上がったと感じます。

取引先や個人のお客様からも、たくさんのお言葉がありました。日本フードアナリスト協会さんとしても椎茸に注目したのは初めてだったのではないかと思います。

編集長

最も印象に残るお客様とのエピソードはありますか?

伊藤社長

私がこの商売を始めて20年になりますが、弊社の椎茸を食べて「 こんなに美味しい椎茸は初めて 」という方が結構いらっしゃるんです。それは意外なことでした。私は小さい頃から目にしている椎茸なのですが、他の方からすると全然違うと言われるんです。

都会の方々は、原木栽培の椎茸をあまり食べた経験がないのではと思います。知らず知らずのうちに中国産や菌床栽培の椎茸を食べていた方が、原木栽培の椎茸を食べてビックリするのが実際なのかもしれません。

最近は食品表示法が改められて、原木・菌床の表記がされるようになりました。個人の味覚にもよると思いますが、味覚が鋭い方からすると、この違いは「なんだ!?」となるのではないでしょうか。

また、弊社は台湾のパートナーと15年ほど貿易を続けています。きっかけは、台湾に住む方が日本旅行のお土産として、弊社の椎茸「 最高級どんこ椎茸ギフト 」を買って帰ったことでした。

その方は、昔台湾にも美味しい椎茸があったと懐かしんだそうです。小学生の頃まで美味しかった椎茸が、ある日突然味が変わったと。そして、この椎茸を台湾に広めようと決意し、弊社に連絡をいただいたというエピソードがありました。

彼の熱意に打たれて、当時貿易をしていなかった我々も日本の原木栽培椎茸の可能性を感じ、取引を始めました。今も彼の会社との関係は続いています。やはり、彼の味覚が鋭かったのだと思います。椎茸の味が変わったのを頭の片隅で覚えていたのでしょう。

編集長

未来に向けて、御社はどのような取り組みをしていくのでしょうか?

伊藤社長

正直なところ、担い手が少ない課題には打開策が見つかっていません。若い世代がどんどん都会に出ていっており、過疎化に歯止めがかかっていないのが現状です。この状態で椎茸の生産量を確保するのは非常に難しいですね。

弊社は何年も前から今のままでは難しいと判断し、全国から仕入れる体制に移行しました。特に九州からの仕入れが多いです。生産量が減っていくのは、弊社の力だけではどうしようもありませんが、できることをやろうと決意しました。

我々の取り組みとしては、生産者の方々が作った椎茸を無駄にしないようにすることです。例えば、作業中に壊れたり割れたりした椎茸も拾い、異物がないかを確認して商品化しています。これを「 欠け葉椎茸 」という形で販売しています。

以前は捨てていた椎茸の粉も、業者さんに依頼して椎茸だしパックとして詰め替えてもらい、商品化することに成功しました。生産者の方々が大事に育てた椎茸を無駄にせず、大切に扱うことを心がけています。

これは簡単なことではなく、20年かけてようやくできるようになったことです。弊社のような小さな会社の1つの成果だと感じています。生産者の作ったものがロスなく消費者に届き、その価値を上げて届けるのが使命だと考えています。

弊社は生産者ではありません。生産者の椎茸を買わせてもらい、加工し、価値を上げて消費者に届けることが我々の役割です。この役割を通じて、椎茸業界全体の持続可能性に貢献していきたいと考えています。

編集長

本日は、素敵なお話ありがとうございました!

伊藤社長

こちらこそ、ありがとうございました!

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