“ホタルが飛び交う田園”を未来へ、有機米の価値を伝えるあられ作りの使命とは

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取材協力:株式会社 精華堂霰総本舗 – 清水様

取材対象:ジャパン・フード・セレクション受賞「 ひなあられ

目次

株式会社 精華堂霰総本舗

「 本当の美味しさを求めて 安全にたどりつきました 」創業80有余年、あられ一筋。美味しさの原点は、農薬も化学肥料も使わずに栽培されている国内産有機米。しかも、味が最高と言われる宮城県産「みやこがね」銘柄を使用。そして、味付け素材の醤油や豆・砂糖等にも有機・無農薬栽培素材・天然素材を使うことに徹していることです。このこだわりが、素材の美味しさを引き出し、美味しさをお客様にお届けできると考えます。また、安全へのこだわりの証として有機JAS認定も取得。現在、1,000社以上と言われる米菓メーカーの中で、国産有機もち米100%で有機認証品を作り続けている唯一のメーカーとなっています。

創業秘話

編集長

まず初めに、精華堂霰総本舗の創業秘話についてお聞かせください。

清水社長

当社の歴史は、私の祖父が赤坂のサカモト商店に丁稚(でっち)として入ったところから始まります。大正の初期のことと聞いています。その後、独立して向島で創業しました。東京の下町が開発されていく昭和初期のことです。

「 精華堂あられ 」という名前には、“あられの世界で最高峰”という意味が込められています。祖父は最も美味しいあられを作るという志を持って事業を始めたそうです。

しかし、戦時中は食糧規制により仕事ができなくなり、祖父は疎開を余儀なくされました。昭和20年3月10日の東京大空襲の前日、山梨に戦時の様子を見に戻っていたおかげで、空襲を逃れることができたんです。

戦後、昭和26年初めに東京に戻ってきましたが、当時は米が手に入らない状況でした。スカイツリー付近の本所吾妻橋辺りで、えびせんのようなデンプン菓子を細々と作っていました。お米が国の統制下にあったため、あられやおせんべいは一切作れなかったんです。

創業までの時系列

1)1920年頃に赤坂のサカモト商店に丁稚で入った(大正初期)
2)1923年の関東大震災にて九死に一生を得る
3)1926年 〜 1935年に向島で独立・創業

あられ作りの難しさ

編集長

そういった創業時のご苦労があったのですね。あられ作りには特別な技術が必要だと聞きましたが、その難しさについて教えていただけますか?

清水社長

お煎餅屋さんは火と網があれば誰で始めることできますが、あられ屋は大きな機械が必要なんですよ。お餅を作り、3日間寝かせて硬くし、それを切って生地を作ります。

お餅は水分が多いので、生地にしたら直ぐに焼いたり揚げたりしなければなりません。そのため、お煎餅のような「 生地屋さん 」は存在しないんです。

あられ屋は餅米を蒸す工程から始まり、大きな設備が必要になります。お煎餅屋さんでは、あられが販売されていますが、それは当社のような製造工場から仕入れているんですよ。

事業が本格的に軌道に乗ったのは、宮城に工場を作ってからです。そこから精華堂霰総本舗としての歩みが始まったといえますね。

有機栽培への取り組み

編集長

なるほど、あられ作りには特殊な設備投資が必要なんですね。そのような製造方法だからこそ、御社ならではの味が生み出されているのだと分かりました。設備に加えて、原料の質も重要だと思います。御社は原料へのこだわりが強いと伺っていますが、特に有機栽培に取り組まれているそうですね。その点についてもう少し詳しくお聞かせいただけますか?

清水社長

美味しいあられを作るには、原料の良さが絶対条件です。私たちは「 人々が美味しいと感じるものは安心安全なものだ 」という気付きから、安心安全な原料を探せば、自然と美味しいものができるという考えに至りました。

そこで、有機栽培をしている全国の農家さんを探して回りました。当時は有機栽培農家はそれほど多くありませんでしたが、少数ながら熱心に取り組んでいる方々がいました。美味しいお米を作っている農家さんは、農薬や化学肥料を控えめにしたり、余計な化学的なものを使わないようにしたりしていました。

このような考えのもと、3年かけて全国の農家を回り、美味しい餅米を探しました。日本には「 黄金餅(こがねもち) 」という品種があり、その中でも特に美味しい「 みやこがね 」という品種が宮城県で作られていることを知り、「 みやこがね 」を使ってあられを作りたいという思いから、宮城県に工場を移転した背景があります。

有機栽培の原料を集めれば、きっと美味しいあられができると確信し、醤油や砂糖などの調味料も含めて、あらゆる原料を有機のものに切り替える方針を立てました。この方針は私が会社に入る前から決まっていました。

そして、2001年に有機JAS法が施行されたのを機に、認証取得を目指すことにしました。認証を取得することで、私たちの有機栽培へのこだわりをより明確に示すことができると考えました。

ジャパンフードセレクション受賞

編集長

原料へのこだわり、特に有機栽培への取り組みが御社の大きな特徴なのですね。その姿勢も評価されて、最近ジャパンフードセレクションを受賞されたと伺いました。この受賞について、どのようなお気持ちでしょうか?また、どのような商品が評価されたのか、詳しくお聞かせいただけますか?

清水社長

実は、私たちから申請したのではなく、誰かが当社の商品を推薦してくれたんです。ある日、「 エントリーされていますが、参加しますか?」という連絡が日本フードアナリスト協会さんからありました。

受賞したのは「 ひなあられ 」なのですが、通常、「 ひなあられ 」はカラフルで着色料が使われます。また、一般的にあられお煎餅は、品質の劣る米から作られることが多いのですが、私たちは違います。

会長も私も、良い原料から美味しいものができるという信念を持っています。元々、あられお煎餅は神様のお供え物と言われており、最高級の材料を使って作られたのが始まりだと信じています。

私たちの使命は、その本来の作り方を再現し、引き継いでいくことです。次世代に誇れるような、そんな商品を作りたいです。今の形ができあがったのは、そういう思いからです。

ジャパンフードセレクションの受賞で最も嬉しかったのは、そんな私たちの姿勢を見ている人がいたということです。それが認められたことが、私たちにとって何よりも大きな喜びでした。

ホタルが飛び交う田園を日本に広める

編集長

受賞おめでとうございます。御社の姿勢が評価されたということですね。最後に、御社の理念「 ホタルが飛び交う田園を日本に広める 」についてお聞きしたいのですが、この理念を実現するために必要なことは何でしょうか?

清水社長

有機栽培は食べる人だけでなく、作る人にとっても大切なんです。農薬や化学肥料を使わないことで、農家の方々が安心して田んぼに入れるようになり、環境への負荷も減らせます。私たちのような小さな会社こそ、主原料に理想的なものを選ぶべきだと考えています。

私たちの場合、最も使用量の多い原料はお米です。良質な有機米を購入し、その生産者を支援することが、私たちにできる最大の環境貢献だと考えています。これは日本の美しい田園風景を守ることにもつながります。

環境に良いことは、最終的に私たちの事業にも良い影響を与えます。この理念を実現するには、一貫して有機栽培にこだわり、農家さんと協力しながら、持続可能な農業と食文化を推進していくことが必要です。そうすることで、環境、農家さん、そして食べる人、皆が喜ぶ結果になると信じています。

編集長

本日は素敵なお話しありがとうございました!

運営会社:株式会社Rim Entertainment
編集者:Jeong Yeongsu
運営メディア:シネマライブラリ

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