早野様、編集長のジョンです。本日は宜しくお願いします。
本日は宜しくお願いします!
パティスリーハヤノ
なぜ瀬戸内レモンを素材として選んだのですか?
瀬戸内レモンを選んだ理由は、やはり「 レモンといえば瀬戸内 」というイメージが強いからなんです。今回のジャパンフードセレクション受賞を機に、販売が軌道に乗れば、地元の農家さんとの関係構築にも取り組んでいきたいと考えています。
現状では生産者の顔が見えていない分、今後はトレーサビリティをしっかり確立して、消費者の皆さまにも安心してご利用いただけるよう努めていきたいですね。
今後に期待しています。レモンケーキ開発までにどの位の期間がかかりました?
開発には約3年の歳月を要しましたが、本格的な取り組みを始めたのはここ2年ほどです。レモンケーキ自体は昭和時代から親しまれてきたもので、ご年配の方には懐かしさを、若い世代には”レトロでエモい”感覚を呼び起こすんです。
昭和レトロブームの到来を見越して、若い世代にも魅力を感じてもらえると確信しました。私たちの想いは、伝統あるこのケーキを若い世代にも注目してもらうこと。
“レトロエモい”というのは、ノスタルジックで懐かしい雰囲気を指します。例えば、一時期廃れていた草津温泉が再び脚光を浴びているのと同じような現象ですね。
お客様の感性に響くケーキを作りたいという思いがありました。話題性もあり、若い世代が年配の方へのプレゼントとしても選べる、そんなケーキを目指しました。
レモンケーキの改良を重ねていく中で、特に印象に残っている早野様のエピソードはありますか?
開発過程において、約1年前から新たな仲間として19歳の女性スタッフを迎え入れたんです。彼女と共に商品開発を進めてきました。若い世代の視点を取り入れることで、若い世代が好む味や食感を探求できたんです。
彼女の意見を聞きながら、「 今の若者が求める味わいとは何か 」を常に意識して開発を進めてきました。試作品を一緒に試食し、率直な感想を聞きながら改良を重ねていったんです。
この取り組みが、結果としてレモンケーキ完成につながったのではないかと感じています。若い感性を融合させることで、幅広い年齢層に愛されるレモンケーキが完成したと思います。
それは意外でした!特に印象に残っているお客さんとのエピソードはありますか?
私たちは自社会員様向けのアプリを活用して情報発信を行っています。そのアプリやInstagramを通じて、積極的に共有してきました。この取り組みが功を奏し、お客様から少しずつ反響をいただくことができました。
お祝いのメッセージなど、たくさんの温かい反応があったんです。特筆すべきは、こうした発信を続けていく中で、実際の注文につながっていったことです。情報発信が直接的な販売促進に結びついたというのは、私たちにとっては大きな成果だと感じていますね。
商品開発の過程で、困難や失敗はありましたか?
開発過程で最も苦労したのは、レモンケーキの焼き加減の調整でした。レモンを贅沢に使用しているため、生地の水分量が非常に高くなるんです。これが開発上の大きな課題となりました。
具体的には、水分が多いことで生地が包装袋にくっつきやすくなる問題がありました。理想的な食感と保存性を両立させるために、生地に加えるレモン果汁の量、オーブンの温度、焼く時間、この3つのバランスを細かく調整する必要がありました。
この問題を解決するため、何度も試作を繰り返し、条件を少しずつ変えては試食を重ね、粘り強く改良を続けたんです。試行錯誤の末、ようやく理想とする焼き加減に辿り着くことができました。
しっとりとした食感を保ちながらも、適度な弾力があり、包装時にもくっつかない、理想なバランスを実現できたんです。この苦労があったからこそ、自信を持ってお客様にお届けできるレモンケーキが完成したと感じています。
素晴らしい取り組みですね。ジャパンフードセレクションを受賞後、会社の雰囲気にどのような変化がありましましたか?
ジャパンフードセレクションの受賞は、私たちにとって大きな転機となりました。女性スタッフとの商品開発を通じて、会社の課題と進むべき方向が見えてきたんです。この受賞を機に2024年6月頃から、新たな企業メッセージを打ち出すことができたんです。
「 従業員が自慢できる会社 」というシンプルなメッセージのもと、全スタッフが一丸となって同じ方向に向いていこうと。特に印象的だったのは、開発に携わった女性スタッフの喜ぶ姿でした。
若い世代の意見を尊重し、彼らが活躍できる環境づくりの大切さを痛感しました。
この受賞は、ゴールではなく新たなスタートライン。全従業員が同じ方向を向いて歩み始めた今、会社の未来は明るいと確信しています。
早野様が目指す今後の展望を教えてください。
当社は埼玉県の吉川市と三郷市に計3店舗を展開しています。このエリアの洋菓子店として地域ナンバーワンを目指していますが、正直なところ、現時点ではまだ確信が持てていません。地域での認知度はある程度あると感じていますが、それ以上の存在になっていきたいです。
私の夢は、3〜5年後には若手スタッフたちがこの地域でブランドを確立していること。スタッフが楽しく仕事をしながら、結果として売上も伸びている。そんな理想的な状態を目指しています。
これを実現するには、大きな変化が必要だと考えています。特に重要なのは、スタッフ一人一人が自ら考え、変化を起こしていくこと。そして、お客様自身が私たちのファンになってくれること。
ベテランスタッフには、若い世代をサポートする立場に回ってもらい、緩やかな世代交代を進めていきたいですね。この変革を通じて、地域に愛される、そして従業員が誇りを持てる会社に成長していきたいと考えています。