鳥取発、郷土の味を全国へ!「 かにめし 」誕生秘話を阿部社長が語る

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編集長

阿部様、編集長のジョンです。本日は宜しくお願いします。

阿部社長

はい!宜しくお願いします。

創業明治43年、昭和18年より駅弁の製造販売をスタートした株式会社アベ鳥取堂

創業明治43年、昭和18年より駅弁の製造販売をスタート。昭和33年、合成保存料などを用いない独自の保存技術を開発し、現在と同じ「 元祖かに寿し 」の通年販売を開始。 駅弁はその地方「 食文化の代表 」であるとの想いから、地元の素材・食文化にこだわったお弁当を作り続けている。

鳥取発、郷土の味を全国へ「 かにめし 」誕生秘話

編集長

「 かにめし 」が生まれた”きっかけ”について教えてください。

阿部社長

鳥取県には昔から川でカニが取れる地域がありまして、そのカニをぶつ切りにしてご飯と一緒に炊き込む食文化がありました。

元々、地元にあった料理を駅弁で再現しようとしたのが”きっかけ”で、実際作ってみたら美味しかったのが始まりですね。今でも川でカニは取れますが、安定的に供給するのが難しいです。

当時(昭和18年)は物流網も発達していない時代。東京や大阪から食材を仕入れるのは難しく、地元の素材だけでお弁当を作っていました。

そんな中で生まれたのが、1952年発売の「 元祖かに寿し 」。以来、鳥取の食文化を駅弁を通じて全国に届けたいという想いは、70年以上経った今も変わりません。

たまたま出会った「 かにめし 」という料理。それを駅弁にしたのが始まりです。

編集長

川でカニが取れるのですね。知らなかったです。ちなみに、商品開発の過程で最も苦労したことは何でしたか?また、その苦労をどのように乗り越えましたか?

阿部社長

苦労したことは2つありました。味の再現と容器開発です。

1つ目の苦労は、味の再現でした。川のカニは安定供給が難しかったので、海のカニで味を再現しようと考えました。地元の調味料を使いながら、カニをご飯に炊き込む独特の製法。この味の再現に頭を悩ませました。

東京の方々に協力してもらい、評価を重ねて最終的な味を仕上げていきました。試行錯誤の末、完成まで2年の歳月を要しました。

2つ目の苦労は、カニの形を模した容器の開発でした。開発当時はゴミ焼却によるダイオキシン問題が深刻でした。使用していたポリプロピレンは焼却時にダイオキシンを発生させやすかったんです。

味と環境へ配慮した容器の両立。その解決策を求めて、素材探しに奔走しました。約20年前、植物由来原料の樹脂に出会いました。この樹脂とポリプロピレンを混ぜて、電子レンジ加熱にも対応できる容器が完成しました。

編集長

容器開発に苦労したのですね、海のカニ(ベニズワイガニ)を選んだ理由は何ですか?

阿部社長

ベニズワイガニは当初から供給が安定していました。安定した供給、長い漁期間、量的にも安定していました。もっとも身近な材料でもありましたね。

編集長

「 かにめし 」が県外にも多くのファンを獲得できた要因は何だとお考えですか?

阿部社長

なんなんでしょうかね。(笑)口コミだったのかもしれません。始まりは駅弁大会でした。そこから全国の百貨店やスーパーに出店していきました。その後、あるTV番組で”祭りに選ばれたお弁当”として紹介されたんです。

その番組で2位になったことで、認知度が大きく上がりました。私たちはずっと味を守り続けてきました。それも人気の理由の1つなのかもしれません。

編集長

ジャパン・フード・セレクションでグランプリを受賞された率直な感想をお聞かせください。

阿部社長

グランプリを受賞して率直に嬉しかったです。会員の皆様にも推薦をいただいたようです。このお弁当が賞をいただいたのは初めてのことでした。

鳥取県知事にも報告をしました。鳥取のような小さい県で商売をしていると、あまりないことなんですよね。従業員みんなの励みになりましたよ。

編集長

「 かにめし 」の開発中、最も印象に残っている瞬間や出来事はありましたか?

阿部社長

印象に残っていることは、容器ですね。金型を設計してもらったのですが、設計図をみた時にはビックリしました。3Dの設計図が複雑だったんです。20年前くらいですかね。その時のことを今でも覚えています。

編集長

この商品を通じて、地元の方々やお客様との間で、記憶に残るエピソードがあれば教えてください。

阿部社長

ハガキをいただいていまして、「 かにめし 」が美味しかったので感動したというエピソードがありました。匿名のハガキだったのですが、これは嬉しかったですね。実際のハガキを今でも持っています。

編集長

素敵なエピソードですね!「 かにめし 」の製造工程について教えてください。

阿部社長

製造工程では、「 かにめし 」の調味とご飯の炊き上がりが重要です。7升炊きの釜で米を炊きます。炊き上がったら反転させてほぐします。炊き上がったご飯自体には、カニの身が見えないんです。味と香りはするのですが、見えないんですよ。

編集長

「 かにめし 」の開発により、阿部社長の人生観や会社にどのような影響を与えましたか?

阿部社長

「 かにめし 」が認められたということもあり、鳥取県外の皆様に食べていただくことに対して目が向きました。会社として鳥取にも売れるものがあるんだという自信がついたんです。

作ったものが認められて、世に出て売れていく。地方にいても、そういったことができるんだと自信になりました。会社の方向性が決まっていきました。

編集長

「 かにめし 」を通じて10年後、20年後、会社としてどのような未来を描いていますか?

阿部社長

現在「 かにめし 」の冷凍販売を考えております。賞味期限が長い商品を作り、より多くのお客様に楽しんで頂きたいと思っています。まさにチャレンジ中です。

我々が気づかないような食文化が地方にはあります。美味しいものを残していきつつ、次の時代に伝えていきたい。そういう会社になりたいと考えています。

私自身も鳥取で生まれ育ちました。田舎だからこそ、良いものがあるのだと思っています。

編集長

本日は素敵なお話を聞けて良かったです、次回も宜しくお願いします!

阿部社長

こちらこそ、ありがとうございました!

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