取材協力:株式会社くらた – 倉田様
取材対象:ジャパン・フード・セレクション受賞「 千秋苑 」
株式会社くらた

約170年前に創業した和菓子店を源流とする当社は、秋田を代表する和洋菓子の老舗です。厳選素材を用いた銘菓・和洋菓子をはじめ、県産地酒や醤油を活かした商品、さらにはアレルギーフリーのお菓子も手がけ、県内14店舗を軸に展開しています。この事業展開を支える礎は、老舗の技と精神を継承しつつ、時代のニーズに応える企業理念と人材の力です。私たちは、次代の伝統を築く若い才能を求めています。当社の使命は、お客様に幸せをもたらすお菓子づくり。この理念のもと、日々邁進しています。この理念を実現するため、厳選された原材料と入念な製法にこだわり、変化する時代の味覚に応える商品を絶えず提案してきました。今後も既存商品の改良を重ねるとともに、新たな伝統となる革新的な商品開発に挑戦し続けます。さらに、心を込めた美味しさを提供する独自性ある店として、県外進出や海外展開も視野に入れています。
千秋苑
商品開発で印象に残っているエピソード
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商品開発で印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますか?



当社の代表的な商品である「千秋苑」についてですが、これは50年以上前に開発されたくるみ餅なんです。特筆すべき点は、開発当初から国産のくるみを使用していることです。
洋くるみと比較して、和くるみは味が濃厚でより深いコクがあります。この和くるみの特徴を生かした商品開発は、今でも非常に印象に残っています。国産素材へのこだわりが、商品の独特な風味を生み出すきっかけとなりました。
「おいしいお菓子は人を幸せにする」という理念



御社の「おいしいお菓子は人を幸せにする」という理念について、もう少し詳しく教えてください。



その理念は私たちの日々の業務の中心にあります。毎朝、全従業員で理念を唱和し、確認しています。これにより、お客様を常に意識した状態で仕事に取り掛かることができています。
特に苦労したエピソード



御社は50年間変わらない味を守り続けておられますが、倉田社長が7代目として就任されて以降、特に苦労されたエピソードはありますか?



今まさに苦労していますね。お菓子のくらたというブランドができて、もう170年ぐらいになるんですけれども、今現在、ロゴを始めとするブランドそのものを、一新し、リブランディングしようとしています。
看板も何から全部ガラッと変えますが、社名を変更するまではいかないです。今は「 くらた 」というひらがなで読みやすい文字なんですが、それを新しくするというよりは、創業当時の江戸時代に使ってたひらがなに戻すというようなイメージが近いかなと思います。
リブランディングが、だいぶ今世代が変わってから着手している大きなプロジェクトとしては、そこで苦労してますね。
国産くるみについて



国産くるみを使用されているとのことですが、昔からそういった特別なこだわりがあるのでしょうか?



前からずっと原材料には良いものを使うという信念のもとでやってきたようです。例えば、戦時中は砂糖が入手できなくなったので、「 手に入らないのであれば、お菓子屋さんを辞める 」ということで一時休業したりしました。
それぐらい原材料へのこだわりが先代も先々代もありました。私の代になってからも、国産がいいという考えは続いています。ただ、最近ではその通説も崩れつつあるので、なんでもかんでも国産というわけではありません。
外国でも良い材料があればそちらを使っていくという、より広い視点で進めていきたいと思っています。



ありがとうございます。戦時中から、砂糖が手に入らないのでその代替品としてくるみになったという感じですか?



いや、そういうわけではありません。くるみに関しては50年前なので戦後ですね。しばらくしてから開発された商品です。その当時も一応外国のくるみというのがあったんですけども、やはり国産のくるみの方が味が濃いので、そちらを使うようになりました。
印象に残っているお客様とのエピソード



長年の歴史ある会社として、様々なお客様と接点があったと思います。倉田社長の経験の中で、特に印象に残っているお客様とのエピソードはありますか?



元々秋田県の地元の方で、ご結婚されて関東圏に移られた80代くらいの方のお話です。その方は、私たちが50年以上前から販売している「 千秋苑 」というお菓子を、たまたま久しぶりに口にする機会があったようです。
子供の頃に食べていたものを、現代になって久しぶりに食べたけれども、味が変わっていなかったということで「 昔を思い出しました 」というようなお手紙をいただきました。それが去年のことでしたね。
若い世代への技術継承や新しい取り組みについて



若い世代の担い手が少ないという課題感があったと思います。特に職人さんのような製造に携わる方々が不足しているとのことですが、今後、若い世代への技術継承や新しい取り組みについて、どのように進めていく予定でしょうか?



現在、弊社も人員が足りていない状況で、特に若手がかなり少ない状況です。そのため、引き続き新卒採用を進めていく予定です。ただ、これまでの採用方法では人材の確保が難しいと感じています。そこで、新たな取り組みとして以下のことを考えています。
これまでほとんど行っていなかった企業説明会に、来年度以降はしっかりと参加していく予定です。また、SNSを通じて会社の情報をより積極的に発信していきます。これにより、高校生を含む若い世代に、私たちの会社でどのような仕事をしているのかをよりよく理解してもらえると考えています。
これらの取り組みを通じて、若い世代に私たちの仕事の魅力を伝え、技術継承の担い手となる人材を確保していきたいと考えています。



この企業説明会は、倉田社長ご自身が先頭に立って参加される予定なのでしょうか?



はい、その予定です。実は、直近10年間は企業説明会に1度もも参加していませんでした。
ジャパンフードセレクション受賞



ジャパンフードセレクションで受賞されたそうですね。率直な感想をお聞かせいただけますか?



実は当社からの応募ではなく、どなたか存じ上げない県内の方が推薦してくださったようです。当社としては、この商品は昔からずっと販売しているもので、今更という気持ちもあり、特に注力した商品ではありませんでした。ですが、今回金賞をいただけて非常にありがたいと思っています。
最後に
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最後にメッセージがあれば、お願いします。



弊社のお菓子というのは、昔からずっと同じレシピで作り続けているものもありますし、現代風にアレンジした、例えば醤油のシリーズのスイーツなど、いろいろ作っているわけですけれども、基本となるのはやはり、買って食べていただいたお客様が笑顔になるということが一番だと思いながら作っています。それを大事にしながら、今後も弊社としては菓子作り、宣伝をしていけたらなと思います。



本日は素敵なお話しありがとうございました!





