取材協力:澤田食品株式会社 – 常深様
取材対象:ジャパン・フード・セレクション受賞「 フワっと国産紅ズワイの香ばし焼がに味ふりかけ 」
澤田食品株式会社

太古より、さまざまな生命を育んできた海は、まさしく「生命の故郷」と呼ぶことができるでしょう。海は私たちの心に懐かしさと、そして豊かな恵みを与えてくれます。当社では、味の宝庫ともいえるその豊かな海の恵みの中から素材を厳選し、日本の食文化にあった食材へと加工し、皆様の食卓にお届けしております。当社は創業以来豊かな海の幸の美味しさをそのままご家庭の食卓にお届けできますよう、日々研究開発に取り組んでまいりました。最新の設備と熟練された技術、そして衛生管理を徹底し、海産物の加工にとどまらず日本の食文化に根づいた山海の幸を取り入れ、今日他社にない日本初のユニークな商品を、当社独自の発想と加工技術で製造販売してまいりました。今後も当社独自の製品造りにご期待いただければ幸いでございます。
社員一同さらなる味の追求に努め、21世紀の食文化創造を目指してまいります。
商品開発のきっかけ


「 フワっと国産紅ズワイの香ばし焼がに味ふりかけ 」の商品開発のきっかけを教えてください。



当社では以前から「 生ふりかけ 」を製造しており、ふりかけグランプリ®️でイカ昆布が連続で金賞を受賞していました。そこで、それに負けない商品を作ろうと「 プレミアムシリーズ 」を立ち上げました。
第1弾として「 ゴロっと北海ホタテの焦がし醤油ふりかけ 」を発売し、こちらもふりかけグランプリ®️で金賞を獲得しました。
その後、プレミアムの第2弾を望む声が多く寄せられました。新商品を考える際、日本人がカニを好むという点に着目し、今回の「 カニのふりかけ 」構想を実現させたという形ですね。
ベニズワイガニを選んだ理由



カニを使ったふりかけの開発に至ったわけですね。その中で、国産のベニズワイガニを選んだ理由は何でしょうか?



今回ベニズワイガニを選んだ理由は、国産で安定した数量確保が可能・持続可能な食材だったからです。プレミアムシリーズはメインの原料を国産原料にこだわって作るというのを一つの軸にしているので、漁期が長く安定供給できるベニズワイガニは最適でした。
ユニークな組み合わせはどのように生まれたのか



香ばしさやコク、柚子のアクセントなど、ユニークな組み合わせはどのように生まれたのでしょうか?



ふりかけを作る際、実際の料理を想像しながら開発することが多いんですよ。「カニの最も美味しい食べ方は何だろう?」と考えた時、「焼がに」が思い浮かびました。料理旅館で食べるような、香ばしく焼いたかに身に甲羅焼きのカニ味噌をつけ、柑橘を絞って食べるカニが個人的には大好きです。
その味わいを再現したいと考え、香ばしさのあるカニの風味を作り上げました。柚子に関しては、当初は別の柑橘を考えていました。「 幻の柑橘 」と呼ばれる「 直七(なおしち)」を使用したかったのですが、不作のため断念しました。
代わりを探す中で出会ったのが、徳島の木頭地方で栽培される「 木頭柚子 」です。木頭は四国のチベットと呼ばれるほど標高が高く、独特の気候を持つ地域です。そこで栽培される柚子に魅力を感じました。
最も苦労したエピソード



開発には様々な工夫や苦労があったかと思います。商品開発の過程で、最も苦労したエピソードはありますか?



実はカニ味噌の使用に関して大きな課題がありました。当初、私はカニ味噌を入れたくないと考えていたんです。というのも、カニ味噌を使用すると、どうしても商品の色が黒くなってしまうからです。
一方で、営業部としてはカニ味噌を入れたいという意見がありました。結果的には、カニ味噌を入れることになったのですが、これが予想以上に良い効果を生みましたね。商品に深みが出たんですよ。
カニ味噌の深みある味わいと香ばしさを出すために、様々な種類のカニのエキスを取り寄せてリサーチしました。カニ味噌の香ばしさを引き立てる、何か別の食材がないか?と試行錯誤を重ね、約2年の歳月を要しました。香ばしさと深みのバランスを取るのに、本当に苦労しましたね。
香ばしさはどのようにして実現したのか



香ばしさの実現に苦労されたとのことですが、結果的に、この香ばしさはどのようにして実現したのでしょうか?



最終的には、カニの殻のパウダーを使用することで、よりカニの風味を引き出すことができました。カニの殻には独特の香ばしさや味わいがあるんです。実際の料理でも、カニ汁などはカニを殻ごと調理に使用することがありますよね。
そのアイデアを活かして、カニの殻をパウダー状にしたものを商品に配合しています。結果として、深みのある味わいと香ばしさのバランスが取れた商品に仕上がったと思います。
社内外含めて特に印象に残っている人物



商品開発には多くの人が関わったと思います。その中で、社内外含めて特に印象に残っている人物はいらっしゃいますか?



実は社内の事務員の田中さんが、この商品開発の中で重要な役割を果たしてくれました。開発当初から、カニのふりかけに柑橘の香りを加えたいと考えていたんです。前述の通り、最初は「 直七 」という柑橘の果汁を使用する予定でした。しかし、不作のため急遽使用できなくなってしまい、開発が行き詰まりかけていました。
そんな時、田中さんが徳島のご実家から送られてきたゆず果汁をお裾分けしてくれたんです。彼女から、徳島では「 ゆず酢 」と呼んでお寿司などにお酢の代わりに、ゆず果汁を使用する習慣があることを教えてもらいました。さらに、徳島の木頭(きとう)地域のゆずが有名だということも知りました。
ゆずと言えば高知が有名ですが、調べれば調べるほど木頭ゆずの魅力にどんどん引き込まれていきました。結果的に、田中さんのご実家のゆず果汁との出会いが、カニふりかけ開発のピンチを救ってくれました。
ジャパンフードセレクション グランプリ受賞



開発の努力が実を結び、ジャパンフードセレクションでグランプリを受賞されましたね。受賞時の率直な感想をお聞かせください。



こだわって作った商品なので、その味が率直に評価されるのは本当にドキドキしました。味の設計は何度もやり直し、カニの味わいも十分に出せていると自信はありました。
グランプリを獲れたということは、カニの味が皆さんにも分かっていただけるようなふりかけを作ることができたんだなと、すごく嬉しく思いました。特に、フードアナリストの方々に評価されたことは大きな励みになりましたね。
読者の皆様へメッセージ



最後に、この商品や御社の今後の展望について、読者の皆様へメッセージをお願いします。



私たちのプレミアムシリーズが、当社の生ふりかけの中で新たな軸として動き出しています。この流れを受けて、さらに上をいくプレミアムな商品の開発も考えているところです。
「 生ふりかけと言えばサワダ 」というスローガンを掲げ、会社全体で新たな挑戦を始めています。
近年、米離れという課題もありますが、生ふりかけを通じて日本の自給自足や農業にも少しでも貢献できればと思っています。お米を食べる機会を増やすお手伝いができるようなふりかけを作っていきたいですね。
どうしても「 ふりかけ 」と聞くと、他社の製品をイメージする方が多いかもしれません。しかし、私たちは「 こんなふりかけもあるんだ 」と思っていただけるような、新しい価値を持つ「 生ふりかけ 」を広めていきたいと考えています。







