取材協力:有限会社熊谷伊兵治ナメコ生産所 – 熊谷様
取材対象:ジャパン・フード・セレクション受賞「 朝採りぷりっぷり切ったそのまんまナメコ 」
有限会社熊谷伊兵治ナメコ生産所
私たちは、より多くの方にナメコの魅力を知っていただくため、従来の販売形態にとらわれない取り組みを展開しています。マルシェやライブハウス、音楽イベントなど、多様な場所での試食・販売を実施し、幅広い年齢層のお客様との出会いを大切にしています。また、SNSでの情報発信も積極的に行い、なめこのレシピや保存方法などを日々紹介。これらの活動を通じて、鮭川産きのこの魅力とともに、鮭川村自体の素晴らしさも発信しています。さらに、社会貢献活動として、マルシェや各種イベントでの売上の一部を、東日本大震災の被災地や復興支援団体への寄付にも充てています。生産者として、地域社会との共生を大切にしながら、これからも安全で美味しいナメコづくりに励んでまいります。
朝採りぷりっぷり切ったそのまんまナメコ
創業から現在まで
創業から現在までの歴史についてお聞かせください。
当社のきのこ栽培は、祖父の代にまで遡ります。”きっかけ”は特別豪雪地帯という地域性から生まれました。冬季は農作業ができず、出稼ぎに頼らざるを得ない環境でしたが、安定した収入を得る手段として原木なめこの栽培を始めました。
1989年に会社を設立後は、より効率的な通年栽培を目指し、原木栽培からトロ箱栽培、そして空調施設での栽培へと生産方式を発展させてきました。現在は最新の空調栽培に特化し、生産を行っています。
開発のきっかけ
「 朝採りぷりっぷり切ったそのまんまナメコ 」の開発の”きっかけ”をお聞かせください。
この商品は、ナメコ本来の美味しさを届けたいという想いから生まれました。一般的に市場流通させる際は、ナメコを水洗いしてサイズ別にパッケージング処理をする必要があります。しかし、この水洗い工程によって品質が損なわれやすいという課題がありました。
私たちはナメコ農家として、収穫したての新鮮な状態のままナメコを味わっていただきたい。その想いを形にするため、朝一番で収穫したナメコを水洗いせず、本来の食感と弾力を残したまま商品化することにしました。
朝採れそのままのナメコは、一般的なナメコと食感や美味しさに違いがあるのでしょうか?
はい、食感と弾力が全く異なります!一般的なナメコからは想像できないかもしれませんが、驚くほどシャキシャキとした歯ごたえがあり、同時にプリプリとした弾力も格別です。これは収穫したての鮮度と、水洗いをしていない本来の状態だからこそ味わえる特徴ですね。
無農薬栽培へのこだわりについて、具体的な取り組みを教えてください。
きのこ栽培における無農薬は基本ですが、私たちはそれ以上の安全性にもこだわっています。栽培過程で使用する栄養体(米ぬかや大豆など)についても、遺伝子組み換えがされていない原料のみを厳選して使用しています。
おがくずと共にこれらの自然な栄養源を活用することで、安全で品質の高いナメコづくりを実現しています。
ナメコ栽培の秘訣
品質の高いナメコを育てるための秘訣は何でしょうか?
近年、きのこ栽培の機械化が進んでいますが、私たちは昔ながらの手作業にこだわっています。例えば加湿作業は、朝晩、一つ一つのナメコの状態を確認しながら丁寧に水やりを行います。
収穫時も同様です。ナメコの傘の大きさと軸の長さのバランスを見極めながら、一本一本手作業で収穫していきます。このような細やかな手仕事が、品質の高いナメコづくりに繋がっていますね。
ジャパン・フード・セレクション受賞
この度のジャパン・フード・セレクション受賞について、ご感想をお聞かせください。
「 朝採りぷりっぷり切ったそのまんまナメコ 」は、私たちが最も自信を持ってお客様に味わっていただきたい商品です。その想いを込めた商品が評価されたことを、大変嬉しく思っています。
さらに、この受賞は商品開発だけでなく、私たちが日々こだわって栽培しているナメコそのものの品質も認められたということで、生産者として大きな喜びを感じています。
QRコードのアイデア
商品パッケージにQRコードを掲載し、レシピを提供されているそうですが、このアイデアはどのように生まれたのでしょうか?
このアイデアは、イベントやマルシェでの消費者との直接対話から生まれました。出店時に多くのお客様から「 ナメコの食べ方は?」「 保存方法は?」といった質問をいただき、より多くの方に情報を届けたいと考えました。
そこでチーム内で話し合い、パッケージにQRコードを掲載することで、手軽にレシピや保存方法を確認できるようにしたのです。実際に導入後は、お客様から大変好評をいただいています。
最後に
最後に、今後の展望についてお聞かせください!
まず、生産面での課題に真摯に向き合っていかなければなりません。電気代の高騰、おがくずの調達難、人件費の上昇など、経営面での課題は山積しています。また、ナメコ栽培の要となる菌床の管理においても、最適な環境づくりを日々意識しながら取り組んでいます。
地域貢献については、二つの明確なビジョンを持っています。一つは、収穫体験や工場見学を通じた食育活動の継続的な実施です。もう一つは、当社のPRだけにとどまらず、「 鮭川村=キノコの産地 」というブランドの確立です。持続可能なナメコ栽培の発展に向けて、地域全体の価値向上に貢献していきたいと考えています!
なめこを使った料理レシピも掲載しています。