取材協力:服部コーヒーフーズ株式会社
取材対象:ジャパン・フード・セレクション受賞「 塩珈琲豆大福モカ入り 」
服部コーヒーフーズ株式会社
1955年に宮城県仙台にコーヒーロースターとして創業しました。現在は、時代の変化とともに多様化する食のニーズに応える「食のトータルコーディネーター」です。
創業 〜 現在まで
この度は、ジャパンフードセレクションでの受賞おめでとうございます。早速ですが、御社についてお聞かせください。
当社は1955年の創業で、仙台の喫茶エビアンの経営が”きっかけ”となり設立されました。主にコーヒーの焙煎と喫茶材料の卸売業を手がけています。
取扱商品は、ドライ品から冷凍品まで多岐にわたります。メーカーからの仕入れ品に加え、今回受賞した「 塩珈琲豆大福モカ入り 」のような自社オリジナル商品も展開しています。
創業者は現社長の祖父にあたる方です。食品業界の先駆者として様々な挑戦をしていました。喫茶店の経営やコーヒーの普及に努めるだけでなく、チーズの加工工場を立ち上げるなど、当時としては最先端の食品産業に積極的に取り組んでいました
外食産業のトータルコーディネーターとは
御社のポリシー「 外食産業のトータルコーディネーター 」について教えてください。
創業当初は、コーヒーと喫茶材料の卸売に特化していました。しかし、昭和の高度成長期に入り、ファミリーレストランや居酒屋などの新しい外食業態が次々と登場してきました。
その時代の変化に対応するため、冷凍食品など取扱商品の幅を広げていきました。私たちは、様々な業種・業態のお客様のニーズに応えられる「 外食トータルコーディネーター 」として、これからも皆様のお役に立ちたいと考えています。
素材へのこだわり
自社工場でのコーヒー焙煎・チーズ加工・清涼飲料水類の製造について、素材へのこだわりを教えてください。
コーヒーに関しては、厳選した生豆を使用し、自社工場で丁寧に焙煎しています。清涼飲料水類は主にアイスコーヒーを製造しており、一部アイスティーも手掛けています。特にアイスコーヒーは、長年培ったコーヒーへのこだわりを活かした一貫生産により、確かな品質を実現しています。
塩の使用
大福には「 塩 」が使用されているのですね!
はい、発想の原点は、エチオピアの伝統的なコーヒーの飲み方にあります。コーヒーに少量の塩を加えることでコクが増すという飲用法に着目し、この効果を和菓子で表現できないかと考えました。
実際に商品開発を進める中で、塩がコーヒーの風味を引き立て、より深みのある味わいを生み出すことができました。そうして「 塩珈琲豆大福 」が誕生したのです。
本社が仙台にあることから、地元宮城県の素材を積極的に活用しています。特に塩は、石巻の「 伊達の旨塩 」を採用しました。
仙台の新しいお土産を作りたいという思いから、できるだけ県内の素材にこだわっています。ただし、品質を追求する観点から、豆と小豆は北海道産を使用しています。
苦労したこと
今回ジャパンフードセレクションで受賞された「 仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福モカ入り 」の開発エピソードをお聞かせください。
商品の開発には3年の歳月を要しました。最も苦労したことは、中のあんこで、コーヒーの風味と甘さのバランスを見出すまでに何度も試行錯誤を重ねました。どれか一つの要素が強すぎると、コーヒーの風味が失われてしまいます。
大福の生命線である餅の食感にもこだわり、外側の柔らかさを追求するため、製造工程を幾度も調整しました。
甘さが前面に出過ぎてしまうと「 塩珈琲豆大福 」という商品の特徴が活かせなくなってしまう。この繊細なバランスを見出すことに苦労しましたね。
商品が完成し、試食された方々の反応はいかがでしたか?
3年に及ぶ開発期間を経て、ようやく社長から「 今回いいんじゃない!?」というお墨付きをいただいた時は、本当に感慨深いものがありました。
開発チーム全員が納得できる商品が完成した喜びを感じました。さらに嬉しいことに、お客様からは「 仙台に来た際は必ず買って帰ります 」といったご好評の声をいただいています。
当社として初めて一般消費者向けの小売商品を手がけ、新ブランド「 仙臺杜の香り本舗 」を立ち上げました。お客様から「 服部さんの商品ですね 」と認識していただけることが、とても嬉しく感じられます。
また、開発過程で塩の製造元や他の製造工場を訪問させていただくなど、多くの方々との出会いがありました。この商品は、そうした皆様のお力添えがあって完成したものです。
ジャパンフードセレクション受賞
ジャパンフードセレクション受賞後の変化についてお聞かせください。
受賞後、駅などで「 ジャパンフードセレクション金賞受賞 」という告知を展開したところ、お客様の購入機会が増加しました。また、百貨店での取り扱いが始まるなど、販路も大きく広がりました。
最後に
最後に、今後について一言お願いします!
「 塩珈琲豆大福モカ入り 」のさらなる普及に力を入れていきたいと考えています。来年、当社は創業70周年を迎えますが、ここまで続けてこられたのは、社員の努力や経営陣の指導力はもちろん、皆で築いてきた信頼関係があったからこそだと感じています。
これからも食のトータルコーディネーターとしての役割を大切にしながら、お客様との信頼関係を基盤に事業を発展させていきたいと思います。